第1回口頭弁論報告 2月28日午後1時30分から東京地裁立川支部で口頭弁論が開かれました。 裁判官は大野博隆さん、初回は定石通り、被告代理人(羽根一成弁護士)は出廷しませんでした。 答弁書の「被告の主張」は「追って準備書面を提出する」で特に原告が主張することはありませんでした。ただし遅延損害金の5%という利率は、被告の主張によると200年4月1日以降通常は3%であるらしいので、これは当方も認めました。 次回の弁論は4月18日(金)午後1時30分から、408号法廷で行われます。 傍聴よろしくお願いします。 (2025.3.1) 裁決書が届く※「裁決書」「答申」はクリックするとみられます。 【審査会答申について】 本年(2025年)2月13日に、審査庁(東大和市教育委員会)より情報公開審査請求【※1】に係る決裁書が届きました。結論からいえば審査請求を棄却するというものです。 この裁決書自体にはあまり詳しいことは書かれていませんので、本決裁書が棄却の根拠としている同市情報公開・個人情報保護審査会(以下、「審査会」と略す)の答申について、その不当性について述べるとともに、処分庁の答弁書とその訂正内容に対する批判に代えます。 すでに明らかにしているように、審査請求人の主張は(1)当該訴訟事件番号の不開示(墨塗り)は本人情報に係るものであり、プライバシーの侵害などの恐れはなく、不開示は不当である、(2)振込先口座情報のうち銀行名まで不開示としたことは同市情報公開条例の拡大解釈である、とするものです。 【情報公開条例の本旨】 そもそも情報公開条例とは市民の「行政文書の公開を請求する権利」を定めるものであり(第1条)、「非公開情報」(1号〜7号)を除いた行政文書の公開を行政機関に義務付けている(第7条)ものです。条例の本旨からすれば、たとえ1号〜7号にあたるといえども、行政機関はその拡大解釈を厳に慎むべきであり、公開しても支障のないような工夫をすべき義務があります。しかし本答申はこれに反する対応(事件番号が一体のものであるとして部分開示に応じないこと・銀行名を開示することで「公共の安全と秩序」(同条例7条4号)等が侵される恐れが具体的に存在することを示さずに非公開としたこと)に終始している極めて不当なものです。 【非公開理由の変更】 答申では、処分庁(同市立中央公民館)が銀行名非公開の根拠とした同条例第7条2号から4号に変えたことに対し、審査請求人から反論書の歳出がなかったことをもって「条例第7条第3号に該当するかどうかの判断を要しない」(5頁)としています。 処分庁が根拠を第2号から4号に変えた理由は、(1)非公開情報に当たる第2号が「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、」とあることから、当該弁護士が個人事業主であり「事業を営む個人」に該当すること、(2)同市「情報公開事務の手引」の43頁に「法人等の競争上の地位が具体的に侵害されると認められる場合」とあることからだろうと推察されます。 しかし、東京地方裁判所民事第38部(平成15年9月16日判決言い渡し)の判決文を引用していながら、同市条例第7条第4号(訂正前は「第3号」でした)に該当するとちゃっかり訂正していたことは滑稽です。なぜなら、同判決にある「情報公開法5条2号イ」とは、同市条例第7条3号に相当するものであり、同判決を根拠とすることは相当ではないからです。 とはいえ、振込先の銀行名の非公開は情報非公開の拡大解釈であると審査請求人は指摘しているのであって、非公開情報の何号に当たるかは問題ではないのです。 【情報非公開の一貫性】 答申では、処分庁における事件番号非公開に関しての一貫性のなさについて、根拠とした判決の認識時期の違いであると「理解」した(5頁「付言」)とあります。 審査会はこれを軽微なことのように書いていますが、行政にとってこのような一貫性のなさは重大であり、また、弁護士数人が加わっている審査会(審査委員名中3名が弁護士)で「判決認識時期の違い」を認めるなどと言うことは、法に携わるものとして失格です。「認識時期の違い」で行政による処分の誤りが許されるのであれば、すべてこのことに帰してしまえます。 このような重大な失態を一片の「付言」で済ますことは、審査会の存在意義すら疑われる、身内に対する大甘な対応(本来であれば最低でも注意勧告が必要)と言われても仕方ないでしょう。 【音声データ消去について】 答申では2024年8月21日に行われた口頭意見陳述について一切触れていません。 審査請求人が意見陳述で主張したことは以下の3点です。 (1)個人情報非開示を適法とした名古屋地裁判決(平成14年10月30日)は、2003年の個人情報保護法施行以前のものであり、これを非開示の根拠とすることは相当ではない。 (2)東京地裁判決(平成15年9月16日)について ア、弁護士振込口座情報非公開の根拠としているが、これは2001年のテロ対策特別措置法に関する判決であり、現在とは時代も状況も異なり、取引口座情報商法(本件では銀行名)を非開示とすることは適当ではない。 イ、東大和市のそれと異なり、発議者の印影を不開示としている本判決を、取引口座情報非開示の根拠とすることはご都合主義的である。 (3)処分庁における事件番号非公開の一貫性のなさ(【情報非公開の一貫性】参照) 口頭意見陳述記録の誤りを審査請求人から指摘された審査会担当課である総務部総務課は、音声データを消去してしまったため、その確認ができず、総務課の作成した(誤った)記録と審査請求人の主張を文書化したものを審査会に提出したとしています。しかし審査会答申では音声データを消去してしまったことについて記述も批判もしておらず、極めて不適切です。 【※1】審査請求の流れを審査庁裁決書発出までを時系列に沿って記すと以下のようになる。 (期日は発行日または実施日)。 @2023年12月19日 情報公開・個人情報保護審査請求提出 (訴訟事件番号と弁護士報酬振込先銀行名等の墨塗りは不当との主張) A2024年3月15日 処分庁(同教育委員会中央公民館)より弁明書(本請求の棄却を求める内容)送付 B同年4月15日 審査請求人(わたし)「反論書」を提出 C同年7月24日 審査会諮問通知書(同市教育委員会が審査会に諮問したことを審査請求人に通知) D同年8月21日 審査請求人・処分庁(同市立中央公民館)口頭意見陳述 審査請求人「『反論書』訂正と補足」を同審査会に提出 処分庁「弁明書」の訂正(8月20日付け)を審査請求人に手交 (振込先を墨塗りにした根拠を、同市情報公開条例7条2号から同条4号に変更) E同年8月28日 当日の審査会の資料と口頭意見陳述の記録部分のみの交付を総務部総務課に請求 F同年月日不明 総務部より意見陳述の記録、および審査会の資料提供される。 ※記録意見陳述した内容が誤って記載されていたことを発見 音声データは削除してしまったとのこと。 G同年9月30日 「第1回情報公開・個人情報審査会口頭意見陳述(8月21日)記録について」を総務課に提出 (記録の訂正と。音声データの管理に方法の改善要望する内容) H同年12月上旬 「音声データ管理の要求について(回答)」11月28日付文書総務課より届く (録音は文書化するまでの補助手段であり、目的を達成したのちは消去することに変わりはない。 審査委員会には総務部が記録したものと、当方が訂正した文書を並列して提出するとのこと。) I同年12月16日 東京地裁立川支部に損害賠償請求を提訴。 J同年12月26日 審査会答申発出(処分は妥当) K2025年2月12日 審査庁裁決書(審査請求の棄却) (2025.2.19) 情報公開審査会答申 下記音声データ消去事件は、2024年8月21日、東大和市情報公開・個人情報保護法審査請求の中で発生した事件です。 昨年末、市役所から東大和市情報公開・個人情報保護法審査会(以下「情報公開審査会」と略します)からの「部分公開決定に対する審査請求について(答申)」が届きました。これは同審査会が審査庁(東大和市教育委員会教育長)に答申した写しを、審査請求人であるわたしに送ってきたものです。 時系列に従って言えば、まず情報公開審査請求、次に審査会での口頭意見陳述、そして音声データ消去が明らかになり、損害賠償請求提訴、そして答申の送付という流れです。ここではまず審査会答申に至る経緯と、その不当性について記します。音声データ消去については最下欄の「音声データ消去に関する経緯」をご参照ください。 【経緯と審査会答申内容】 わたしは、2023年10月12日にチラシ配置拒否裁判関係の文書を公開請求し、同年10月25日に対象文書が部分公開されました。公開された文書中、裁判の事件番号と弁護士事務所の口座情報が墨塗にされていたので、このことを不服とし、2023年12月19日に審査庁である同市教育委員会の教育長に審査請求をしました。2024年8月21日の口頭意見陳述を経て、同市審査会で検討した結果を教育長に答申したものの写しが当方にも送られてきたわけです(このことに関しては「自由と人権通信NO.40」で若干触れています)。いずれ日を置かず審査庁から決裁書のようなものが当方に届くはずです。 答申の内容は「部分公開とした決定は妥当である。」というものです。初めから期待はしていませんでしたが、行政にとって不都合な当方の指摘は無視し、審査会の結論に合わせた通り一遍のことしか書かれていません。 【本人情報について】 事件番号については同条例第7条第2号に該当するか否かのみで判断しており、本人情報であることについての言及は全くありません。また、非公開にする内容は個人の権利利益(プライバシー)を害するものに限定すべきという審査請求人(わたしです)の主張については、「独自の解釈」(裁判では、自己の正当性を主張するとき、相手方を批判するのによく用いられる表現です)として退けています。 どちらも結論ありきで、実質的な中身のない空疎なものです。 【口座情報について】 口座情報については、銀行名まで墨塗にするのは条文(同条例第7条第3号)の拡大解釈であるとする審査請求人の論旨を見ず、単に手続き一般論で一蹴しています。答申を仔細に見ていただければわかるのですが、処分庁(中央公民館)が正当性の根拠としていた同条例第7条第3号(訂正前の弁明書原文では「項」と表記)を、口頭意見陳述当日(2024年8月21日)に同条例同条第4号に訂正して来たことによるものです。 これに対する反論書の提出期限が同年9月20日でしたが、当方は反論書を出しませんでした。3号であろうと4号であろうと、銀行名まで墨塗にするのは条例の拡大解釈に違いはないとの判断からですが、反論書の提出を軽く考えていたことは否定できません。 審査会答申ではこのことを最大限利用しました。すなわち、処分庁(中央公民館)は口座情報を墨塗にした根拠を同条例同条第4号としているのであり、同条例同号3号の拡大解釈であるとする審査請求人の主張については「検討する」(答申4頁31行)とはしながら、実際には「判断を要しない」(答申5頁7〜8行)とし排除しています。こちらの手抜かりはあったとしても、まんまと「罠」にかかってしまった感があります。 中央公民館側がなぜ根拠を3号から4号に変えたのか。おそらく橋本勇顧問弁護士からのアドバイスがあったものと推察されます。橋本弁護士はチラシ配置拒否裁判の被告代理人でもあります。同氏は法人として市役所と契約しているわけではなく、個人事業主として契約しています。そのため3号よりは4号のほうが適当と考えたのでしょう。 【音声データ消去】 答申については以上の通りです。音声データとは、2024年8月21日の審査会における口頭意見陳述の内容を録音したものです。その消去については下記「音声データ消去に関する経緯」を参照してください。 ※訴状はこちらからご覧いただけます。 (2025.1.9) 提訴しました 下記「音声データ消去に関する経緯」を経て、2024年12月26日に東京地裁立川支部に損害賠償請求を提訴しました。訴状については近日中にアップしますが、ここでは立川支部での訴状提出のドタバタについて記します。 【合理的配慮】 東京地裁立川支部は、霞が関の東京地裁・高裁庁舎と比べると、自宅から車で20分くらいという、訴訟に及ぶには便利な地の利です。しかし、いつも苦労させられることがあります。それは南側にある駐車場から直接裁判所に入ることがでず、北側の正面玄関までおよそ100mほど歩かされることです。駐車場側にも玄関はあるのですが、金属探知機のあるゲートが正面玄関にしかないからです(なぜ全員が陳続探知機をくぐらねばならないのかということも、根本的な問題としてはあります)。 5年くらい前までは、その距離を歩くことは(多少の息苦しさはあるものの)特段困難とは感じませんでした。しかし、それ以降心不全状態が徐々に進んで、50m歩くだけでも胸苦しく、途中休憩を取らなければならなくなりました。 何度かガードマンに裏の玄関から入れてくれるように頼んだこともあるのですが、丁寧ながらも、頑としてこちらの要求を聞くことはありませんでした。こちらも歩けないわけではないので、ゆっくりと表口に回ったのですが、いつまでもこんなことを繰り返していても仕方がありません。 本件の提訴にあわせ、地裁立川支所長宛に要望書を作って提出することにしました。根拠法は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通所「障害者差別解消法)です。合理的配慮の提供を義務しており、裁判所も従わねばならないはずです。もしこれでダメなら、裁判長に上申書を提出する覚悟もしていました。 裁判所に到着して、これまで通り表口まで回るのもしゃくなので、こっちから入れてくれとガードマンに声を掛けました。これで断られれば今日要望書を提出する弾みにもなるというものです。 そしてやはり裏口からの入場は拒否されました。「申し訳ないですが、正面入り口まで回ってください」と。見た目では人相も体つきもいわゆる「障害者」のイメージは違っているから、そんな反応も無理ないよなぁと思いつつ、さらに一押し、「心臓が悪くて歩くのが大変なんだよ」と言ってみました。するとここで急転直下「ではこちらから」と裏口から入場させ、正面玄関にいるカードマンを呼び出し金属探知機のゲートまで付き添わせました。 こちらは勢い込んでいただけに、この対応には肩から力が抜けてしまいました。でもせっかく作ってきた要望書、出さないのももったいない。それにいつもこうならよいが、今日の対応はガードマンの気まぐれかもしれません。訴状提出が無事に終わった後、裁判所の庶務課に回り実情を訴えました。ところがなんと、庶務課の職員の物分かりのいいこと。外注の警備会社にもきちんと申し入れをしてあり、現場のガードマンとも意志統一しているとのこと。たとえ障害のない方でも事情があれば駐車場からお入れしています、と。 ここまで言われて要望書を出すのもはばかられ、持ち帰ることにしました(「事情のある方はお申し出ください」という看板を立てるよう申し入れておけばよかったとは、後から考えまたこと)。 今年4月に施行された障害者差別解消法の効果なのでしょう。 【裁判手数料】 今回の損害賠償訴訟の請求金額は10万円です。このほかに原告並びに市民に対する公的な謝罪と具体的な改善策の提示も求めています。 通常訴訟費用とは訴状に貼る印紙代であり、正式には「裁判手数料」といいます。「民事訴訟費用等に関する法律」によって定められています。その第3条で「別表第1の上欄に掲げる申立てをするには、申立ての区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額の手数料を納めなければならない。」とされており、「別表第1」ではその額が10万円までの場合は1,000円と定められています。従って本件の場合は手数料は1,000円ということになります。しかし、併せて謝罪と改善策も要求しているので、少々事情は異なります。訴訟の目的の額について、同法では次のように定められています。 ----------------------------------------------------------------------------------- 第4条 別表第1において手数料の額の算出の基礎とされている訴訟の目的の価額は、民事訴訟法第8条第1項及び第9条の規定により算定する。 2 財産権上の請求でない請求に係る訴えについては、訴訟の目的の価額は、160万円とみなす。財産権上の請求に係る訴えで訴訟の目的の価額を算定することが極めて困難なものについても、同様とする。 ----------------------------------------------------------------------------------- 原告からすれば、謝罪や改善策を講じることに、幾ばくかの費用がかがるとは思えませんが、第4条の定めに従えば、訴訟の目的の価額は160万円ということになり、別表第1から手数料は13,000円という計算になります。手数料が1,000円か13,000円かではエライ違いです。勝訴すれば被告側の負担となる可能性もありますが、正直心もとない。 訴訟受付では抵抗を試みたものの、後から補正の要求が出されるものと思われます。これも裁判官次第というところです。 【被告の名称】 本提訴では被告の名称について「東大和市長 和地仁美」としました。受付窓口では「東大和市」ではないかと指摘されたのですが、前回の住民訴訟控訴理由書では、反対に「東大和市」とあったものを「東大和市長」とするように補正された経験があったので、このようにしたのです。 これも裁判官の判断(書記官の意向が入っているかは不明)によるところのものですが、事程左様に裁判化の判断は絶対であり、しかも訴訟によって不統一です。 このような裁判所と付き合ってかねばならないのですから、こちらも「大人」にならなければなりません。 (2024.12.28) 音声データ消去に関する経緯 東大和市立中央公民館長によるチラシ配置拒否事件に関する訴訟関係文書の公開を求めたさい、個人情報であるとして不当に墨塗りされたことを不服として、2023年12月19日、情報公開・個人情報審査会に審査請求をしました。今年の8月21日、審査会による審査申請人(わたしです)の口頭意見陳述の機会が与えられました。もちろん意見陳述をする用意があることを審査会に申し出たため、これが実現したところです。 口頭意見陳述が終了後の8月28日、当日の審査会の資料と口頭意見陳述の記録部分のみの交付を請求しました(審査会自体の記録は非公開)。その結果、得られたものが「令和6年第1回情報公開・個人情報保護審査会 口頭意見陳述」です。この記録は、同市総務部総務課で作成したものです。しかし、なんと意見陳述の内容が間違って記載されており、正反対に読み取れる部分もあったのです。これに異議を申し立てたところ、担当者はすでに音声データは削除してしまったので、文書にして誤りを正して提出してほしいとの返事でした。9月30日、わたしは要請に応じて「第1回情報公開・個人情報審査会口頭意見陳述(2024年8月21日)記録について」(以下「記録についてと略す)という文書にして総務課に提出しました。その内容は、誤記の部分を訂正し、今後このようなことが起こらないような対策(音声データの保存期間の定めなど)をしてもらいたい旨書き添えたものです(同文書参照)。 2ヶ月後の12月初旬、総務課より「音声データ管理の要求について(回答)」という11月28日付文書がわたしのもとに送られてきました(同文書参照)。その内容を見てあきれました。音声データは文書化するまでの補助手段であり、その保存・保管はしていないとの内容です。併せて、陳述者が録音機器を持ち込むことを検討するとの添え書きもありました。 現実に起きている問題に誠実に対応しようという姿勢がなく、まるで他人(ひと)事です。録音機を持ち込ませるなどという検討も、その責任を陳述者に責任を転嫁することであり、全く認められることではありません。 おそらくICレコーダで収録した陳述内容は、庁舎内のサーバーに移し替え、それを各自のPCで再生して文書化するのでしょうから、サーバーには当該音声データは残っていると考えられるのです。これを一定期間保存することなど、担当者にとって特段の負担になるものではなく、録音データの容量もサーバーの巨大容量に比べればホコリのようなものなので、すぐにでもできることです。むしろ、削除するという能動的な操作が不要になり、逆に楽になると言えます。そして一定期間過ぎたのち、まとめて削除すればいいのです。 それにこのデータがあれば、確実に正確な内容が検証できます。大相撲のビデオデータ、検察の取り調べ動画、議会の録画データのようなものです。審査請求人としては、自分の記憶が間違っているとは思いませんが、絶対ではありません。音声データを再生すれば、もしかしたら総務部の記録のほうが正しかったということだってあり得るのです。役所当事者だけならばまだしも、陳述人という部外者が関わっている音声記録を、文書化後に削除してしまうなど、公文書管理上問題があると言わねばなりません。 また、求めていた口頭意見陳述記録の誤記の訂正については、回答がありませんでした。そのため、12月2日、訂正された陳述内容の記録の開示請求をしました。12月13日になって「令和6年12月13日非公開決定通知書」が示されました。つまり当該文書は不存在ということであり、同記録は訂正しなかったということになります。担当課員によると、審査会には総務課作成記録と審査請求人の「記録について」を並列して提示するとのことでした。音声データを消去してしまったので、そのようにするしかないという事情は分かりますが、そもそも陳述内容を録音したものを、本人確認もせずに消してしまうという失態が原因です。 公文書に準ずる音声データの適切な管理がなされていないのであるから、これを改善すべきであるにもかかわらず、そのような姿勢は全く見られません。 もうこれ以上担当部署と交渉してもらちが明かないと判断し、12月16日提訴に至った次第です。 (2024.12.28) |