「内閣府方針」撤回陳情は、不当にも不採択とされました

 結果からお伝えします。
3月20日(月)に開かれた東大和市議会本会議において、「内閣府方針」撤回陳情は、10名の反対と9名の賛成で、不当にも不採択とされました。詳しい内訳は以下のとおりです。
   
反対:自(3名)公(5名)会派と保守系無所属(2名)の10名
   
賛成:共産(3名)・やまとみどり(3名)・興市会(2名)・生活者ネット(1名)の9名
 ちなみに、賛否の各合計については議会事務局で確認をとった情報ですが、具体的にだれが賛否に回ったかは、現時点では確認できていないとのこと?? (※これについては別立てで述べます。)
 総務委委員会に関わる第2号議案から第11号議案までが一括で議題にされました。第2と第3が議案、第4〜第11までが陳情です。「自由と人権」が72名の賛同者と共に提出した「内閣府方針」撤回陳情は第11の5第7号陳情に当たります。一括議題だったため、登壇した議員すべてが本陳情に対する賛否に触れたわけではありませんでした(これもおかしなことではありますが……)。一括議題にすることまでは否定しませんが、各陳情に対する賛否の意見を明らかにする必要はあると思います。それができないなら、一括議題そのものをやめるほかありません。
 反対討論には佐竹議員(公明)と森田議員(自民)、が立ち、賛成討論には森田議員(共産)と床鍋議員(やまとみどり)が登壇しました。床鍋議員は、本陳情については触れませんでした。それぞれの発言内容は総務委員会の時とほぼ同じです。
 反対討論では、憲法第15条1項の公務員の選定、罷免は国民の権利であることから、国民の代表である総理大臣が、国費が投入されている国家機関の一部である日本学術会議の会員の選定に関与することは当然であること、2020年10月の任命拒否の理由を明らかにしないことは、憲法第23条の学問の自由を抵触することになるので正当、学術会議の会員選考に当たって透明性を高め、ガバナンス求めるために外部選考委員を導入することは必要、というようなものでした。さらに、内閣府と学術会議の主張には相互にずれもあることから、どちらか一方の主張の取り下げを求めることは適当でないなどの意見もありました。
 上記反対内容は、これまでの学術会議と政府とのやり取りの経緯や、海外の多くのナショナル・アカデミーが、自律的に会員選考する方式(コ・オプテーション方式)を採用していることを無視し、政権にとって都合のいいように法律を解釈しているような内容です。
 憲法第5条1項はその通りであるとしても、仮に選定や罷免の権限が内閣総理大臣にあるとしても、その一存で決めていいようなものではなく、その理由が「総合的俯瞰的に判断」などというあいまいなものであってはならないのは当然です。そもそも国民の代表というのなら、それは国会であり、国会での審議こそ必要です。その審議をせず内閣総理大臣が勝手に任命拒否をするならば、独裁国家と同じです。
 いっぽう、任命拒否の理由を明らかにすると学問の自由に抵触するというのは、学問の自由を侵害しているということを自白しているようなものです。しかも1983年に中曽根康弘首相(当時)の国会答弁「政府が行うのは形式的任命に過ぎない」については全く触れていません。
 さらに、「内閣府と学術会議の主張には相互にずれもあることから、どちらか一方の主張の取り下げを求めることは適当でない」などという理由で賛成しかねるというのは、これまでの経緯を知らないか、無視した物言いです。すなわち、2020年に井上学技術政策担当大臣(当時)と梶田日本学術会議会長との合意により、その在り方を学術会議自身がが検討を進めてきたという経過があるにもかかわらず、日本学術会議第168回総会のわずか2日前に、法改訂を含む内閣府方針を一方的に提示したのは、内閣府政府側(内閣府)です。どちらに落ち度があるかは明らかでしょう。
 反対論は、都合の悪いことは法被りし、勝手な解釈を繰り返しているにすぎません。会議での発言が責任を問われないことが多いとはいえ、「言い得」のようなことは許されません。
 「内閣府方針」の問題の本質は、まさに森田議員が言っていたとおりです。現政権のねらいは、産学官一体となった軍事大国化を進める政府方針の障害となる、日本学術会議の軍事研究反対の姿勢を転換させることです。今後も、あらゆる局面をとらえて戦争反対の姿勢を貫くことが必要です。

※賛否の各合計と議員自身の賛否の結果について
 賛否の各合計はともかく、各議員が議題、陳情、請願に対してどのような採決をしたのかは、当日には議会事務局では確認していないそうです。賛否の合計については目視で確認するが、録画を見て確認するわけではないとのこと。
 録画した動画を配信業者に回してしまうので、それができるまで1週間ぐらいかかり、それから確認するという。なんと悠長なことかと思う。各議員の賛否の事実は目視ではかなわないとしても、録画した画像があるのだから、業者に回す前に、直ちにそれを見て確認することはできるはず。なぜそうしないのか非常に疑問です。「神聖な」採決結果を、1週間も未定のままにしておくとは……。
 会議の採決結果は迅速で、かつ正確でなければならない。市民に対し、1日でも、1時間でも早く、正しく知らせるべきであるという自覚がないのだろうか。正確で素早い情報は、市民の求めるところ。すぐにでもその方向に舵を切ってもらいたいと強く思います。
(2023.3.21)





   「内閣府『方針』撤回陳情」が東大和市議会総務委員会で採択されました


 3月9日、東大和市議会、総務委員会で上記陳情が3対2で採択されました。
   賛成:
森田、大后、床鍋議員
   反対:
佐竹、蜂須賀議員

 出席した総務委員会の委員全員から発言が得られました。何も言わずに賛否意思表明だけするなどは、議員としての職務を果たしているとは言えません。
 市民の陳情が久々に委員会で採択されたのは、和地議員が市長選に向けて議員を辞めたので、勢力バランスが逆転したからです。
 
 和地元議員は市長選候補として意思表明していますが、安保3文書反対陳情や軍事研究反対の日本学術会議声明を支持する陳情を不採択にするなど、平和都市宣言をしている東大和市長として最もふさわしくない人物です。

【今後の予定】
 
市議会本会議:3月20日(月)9時30分から
 
市議会傍聴お願いします。
(2023.3.10)




     「内閣府『方針』撤回陳情」を東大和市議会に提出しました


 日本学術会議第186回総会のわずか2日前に、政府から日本学術会議法一部改訂を含む内閣府「方針」が示された。
 この「方針」が出された経過や、内容には多くの問題点があるが、その主要なねらいは、日本学術会議委員の選考に関して、政府・財界を含む第三者を介入させようとするものである。これが実現すれば、学術会議の独立性を危うくなり、ひいては学問の自由(憲法第23条)を侵害するもともなる。また、2020年10月に菅前首相が行った6名の学術会議会員の任命拒否の違法性(日本学術会議法第7条2項違反)の正当化につながることとなり、絶対に許されるべきものではない。
 12月21日、日本学術会議が内閣府「方針」を再考するよう求める声明(「内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』(令和4年12月6日)について再考を求めます」)を発したことは当然である。また、各研究団体や学者・弁護士グループなどからも内閣府方針を批判するメッセージが数多くあげられている。
 市民運動とはなりにくいこの問題を、地域で少しでも顕在化させるため、自由と人権は2023年2月16日に、東大和市議会に対し「日本学術会議による2022年12月21日声明を支持し、内閣府『方針』(同年12月6日)を撤回することを、政府に申し入れするよう求める陳情」(略称:「内閣府『方針』撤回陳情」)を提出した。地自治体議会においてこの問題を論議してもらい、議会として疑義を政府にあげることができればという思いからである。
 内閣府「方針」反対の運動の一環として、この陳情に対する賛同者を募ったところ、73名の方から賛同をいただき、あわせて市議会に提出した。
 賛同をいただいた方には、改めてお礼を申し上げますとともに、その経過と結果をここでご報告いたします。

     
(2023.2.21)