こちらは住民訴訟の控訴審に関するページです。
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  住民訴訟控訴審判決報告

 2月27日午後、東大和市長を被告とする住民訴訟(「訴訟代理人弁腰への確定判決前の成功報酬支払は公金の違法支出に当たるので、当該弁護士に支払った成功報酬の返還請求を行え」というもの)の判決言い渡しがありました。
 判決は地裁判決をそのままなぞるもので、控訴棄却でした。初めから過大な期待は抱いてはいませんでしたが、それでもどこかで「もしかしたら」という思いがあったことも事実であり、無念ではあります。
 唯一の救いは、3名もの傍聴者が来てくださったことです。本当に心強く感じました。
 判決文はこちらからご覧いただけます。

 判決文の内容で大いに問題があると思われるのは以下の内容です。
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本件委託契約に基づく成功報酬請求権は、民法6 4 8 条の2にいう「委任事務の履行により得られる成果」である控訴審判決の言渡しにより確定的に発生し、市は経済的利益を取得し、債権者である橋本弁護士との間で、本件成功報酬の支払合意がされたものと認められる。(4頁1〜4行)

控訴審判決が確定したかどうかは橋本弁護士の報酬の発生には何ら影響しない(同頁10〜11行)

委任者の報酬について定める民法6 4 8条及び6 4 8条の2は、いずれも当事者がこれと異なる合意をすることを許容する任意規定であって、それは一方の当事者が地方公共団体である場合でも同様であるから、本件成功報酬の支払合意の効力が民法6 4 8条及び6 4 8条の2の規定により左右されることはない(同頁12〜16行)
※下線は引用者

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 ここでは、市と弁護士間で締結された訴訟事務委託契約書があることを根拠に、また、民法第648条が任意規定(当事者間の合意により法の規定を変更できる)であることをもって(陳情裁判の)控訴審判決を得たことによって市の経済的利益が確保されたので成功報酬支払は違法ではないとしているのです。
 しかし、民事訴訟法第116条には以下のようにあります(法文の趣旨は変わらないと判断し、わかりやすくするため【中略】を入れた)。
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第116条 判決は、控訴若しくは上告【中略】の提起、【中略】若しくは第378条第1項の規定による異議の申立てについて定めた期間の満了前には、確定しないものとする。
2 判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。

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 つまり、@上訴(控訴・上告)期間内(判決文を入手した翌日から14日間)までは、当該判決は確定しない、A上訴された場合も、当該判決は確定しないということです。

 また、地方自治法第232条の5には次のようにあります。
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第232条の5 普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない。
2 普通地方公共団体の支出は、政令の定めるところにより、資金前渡、概算払、前金払、繰替払、隔地払又は口座振替の方法によつてこれをすることができる。
※「これ」とは支出のこと。(引用者注)

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 原告の主張は、確定しない判決(本件の場合控訴審判決→市側勝訴)をもとにした市側の経済的利益確保は根拠がなく、公費から成功報酬を支払うことは違法であるというものです。原告は2022年11月24日に上告状等を提出し、最高裁判決は2023年8月4日に出たのです。したがって同年8月3日までは控訴審判決は確定していないのです。
 ところが前記の通り、本控訴審判決では民法第648条が任意規定であることをもって、「控訴審判決が確定したかどうかは橋本弁護士の報酬の発生には何ら影響しない」としています。
 しかしもし仮に任意規定であるとしても、上記のごとく民事訴訟法の規定に背くような成功報酬支払合意は「公序良俗に反する」(民法第90条)と言うべきであり、当該合意は無効とされるべきなのです。すなわち、2022年11月21日時点では橋本弁護士は成功報酬を受けるべき「債権者」であるとは言えず、成功報酬支払は地方自治法第232条の5に違反するのであって、本控訴審判決は法令の適用・運用に誤りがあるということになります。

 今後はこのような立場を前提に上告を検討していきますが、何かご意見(特に異論・反論)などありましたら、お伝えいただけるとありがたいです。
(2025.2.28)





   控訴審へ


 しばらくサイトを更新していませんでした。控訴理由書を作っていたこともありますが、いろいろ都合が重なってしまい遅れました。
 以下、まとめて報告します。
  ◆2024年11月3日付で控訴理由書を提出
  ◆これに対し、12月19日付(第1回控訴審弁論日)の答弁書11月16日に届きました。
  ◆当方としてはこれら反論すべく、12月4日付の控訴人準備書面(1)を発送しました。
 いろいろ書きましたが、当方の基本的主張は変わりません。確定判決前の代理人弁護士への成功報酬支払いが違法か否か、ということです。
 被告側は委託契約書の契約期間終了・控訴審での勝訴判決・成功報酬支払いを合意した協議書の存在を根拠に、違法ではないと主張しています。言ってみれば「契約書絶対主義」です。
 当方は控訴審判決は確定判決ではなく、成功報酬の対価である委託者(東大和市)にとっての経済的利益は支払合意時点(2022年11月21日)では存在せず、支払は違法であると主張しています。その根拠は最高裁以外の判決は、その言い渡しから上訴期間(2週間)は確定判決とはならないという民事訴訟法第106号条の定め、及び地方自治法第232条の5(普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない。)、民法第648条の2第1項(委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。)が根拠です。
 詳しくは控訴人準備書面(1)と「自由と人権通信NO.47」をご覧ください。

 12月19日の第1回控訴審弁論(詳しくはトップページ参照)にお出でいただければ嬉しいです。
(2024.12.4)

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