自由と人権スケジュール
   2023年東大和平和市民のつどいで起こったこと
    
(「自由と人権通信NO.33」より)

【コスタリカ大使のメッセージを得るまで】
 市民団体「サンホセの会」による長年の願いがかなって、今年の「平和市民のつどい」向けて、駐日コスタリカ大使館アレクサンダー・サラス・アラヤ氏から(スペイン語の)メッセージがよせられた。
 サンホセの会では2019年の「コスタリカの奇跡」上映会の時から(「サンホセの会」はこの上映会をきっかけに成立したもの。当時は「上映実行委員会」だった。)コスタリカ大使館にはたらきかけ、大使(当時の大使はラウラ・マリア・エスキベル・モラ氏だった。)に映画会でのご挨拶をお願いしたところ、なんと希望がかなえられた。せっかくおいでいただくなら戦災変電所も見学していただきたいと、その方向で計画も練った。一国の大使来市ともなれば東大和市にも関わってもらう必要があると考え、市(総務課)にも話を持って行ったが、市はまったく興味を示さなかった。
 しかし実際には、ラウラ大使は映画会直前に本国に帰国され、映画会でのご挨拶や、変電所見学は全て実現しなかったのではある。その後もサンホセの会では大使館を訪問し、戦災変電所のパネルを持参して変電所保存の意義や、東大和市での平和への取り組みについて大使にご説明し、ぜひ見学をしていただきたいとお願いを続けた。
 今回の平和市民のつどいに対するメッセージはそのような積み重ねの上に実現したものである。

【市との交渉】
 メッセージの発出が8月15日と「つどい」直前だったため、集会の実質的な担い手である生涯教育課への申し入れも急な話となってしまったことは否めない。当初はプログラムも決まっているからと受け入れに消極的だったが、一国の大使が東大和市民に対して発してくださるメッセージを紹介しないのはいかがなものかと、強く申し入れた。メッセージ本文(スペイン語)とそれをサンホセの会として日本語訳したものを提供し、ぜひ本文を読み上げてほしいと主張した。それでも担当者はメッセージの要旨の紹介にこだわっていた。
 8月18日午前、大使のメッセージの扱いについて、サンホセの会と市側(松本副市長・小俣教育部長・岩野生涯学習課長)との間で話し合いを持った。その結果、以下の点で合意に至った。
 @東大和市で日本語訳したものがあるので、それを全文読み上げる。
 A会場(サンホセの会コーナーわき)には、サンホセの会が訳した日本語メッセージと、原文(スペイン語)を掲示する。
 ちなみに、小池都知事のメッセージは、(市の弁によると、)東大和市が参加を要請したものなので全文読み上げ、メッセージそのものは朗読のさいにステージに掲示、しかる後に市のテントわきに移す。
 一国の大使と都知事のメッセージの扱いに大差があるとの不満もあったが、直前でもあるが、それもしかたがないとの思いで合意した。大使のスペイン語のメッセージの日本語訳については、元が一つであるので、誰が訳してもそんなに違いはないだろうと漠然と考えていた。

【松本副市長の裏切り】
 ところが当日午後になって松本副市長から電話があり、大使館の確認が得られないので、メッセージの要旨をアナウンスすると言ってきた。
 午前中の合意ですら大使のメッセージの扱いについては不満も残っていたので、さらに要旨のみというのはあまりに礼を失する。サンホセの会で翻訳したものを読み上げるよう求めたが、受け入れられず、一方的に電話は切られた。松元副市長は「わたしが悪者になればいい」とうそぶいていたが、悪いことをしているという自覚だけはあったらしい。
 市の訳したものであれば読み上げるが、団体の訳したものならば要旨のみというのは、理屈に合わない。サンホセの会のものを読んだのでは何か不都合があるのかと考えざるを得ない。市の訳したものと比べてみればそれが分かると考え、提示するよう求めたが、大使館から確認を得られていないのでという理由にならない理屈で、それは拒否された。よほど明らかにできない事情があると思われる。
 後日、情報公開請求でそれを求めた。日本語訳の責任者や、その訳文に手を加え、大使館に提示するまでに協議した担当者や協議内容も同時に求めたが、こちらは文書不存在ということで、開示されることはなかった。しかし、岩野生涯学習課長の言によると、管理者(市長)がかんでいることは間違いない。

【2つの訳文】
※サンホセの会として日本語訳したもの(スペイン語の原文も添えられています)は→こちら
 市の訳文は→こちらから見ることができます。
 公開された市の訳文は、岩野課長によると翻訳アプリで日本語訳したものだそうだ。そのままでは当然使用に耐えないだろうから、前記管理者も加わり、大使館に提示するものを最終的に作成したものであろう。
 サンホセの会で訳したものと市で訳したものを読み比べてみた。確かに大枠では大差ないように見える。しかし、ひとつだけ納得しかねる表現があった。
 コスタリカ共和国の最大の特徴は、同国憲法第12条に定められているように、常備軍を持たないということである。つまり非武装国家であるということ。ところが市の訳文では文末を「平和、軍縮、非核化の促進」でしめている。サンホセの会のそれは「平和、非武装、核兵器廃絶に向け」である。
 その前の段落では、市の訳では「私の国は軍縮と核兵器廃絶を熱心に支持しています。」なっている。いっぽうサンホセの会のそれは「私の国は戦力不保持、非核を宣言しています。」となっている。
 「軍縮」と非武装や戦力不保持は全く違う概念である。軍縮を進めて行った先に戦力不保持があるとしても、軍縮とは軍備を縮小するということ、すなわち軍備の保持が前提となっている。これはコスタリカ共和国の特徴とは反するものと言わなければならない。
このように訳しているところに政治的な姿勢を見てしまうのは、果たして考え過ぎなのであろうか。
(2023.9.15)





   8.19「平和市民のつどい」当日の様子


 以下の画像が、大使と都知事のメッセージの掲示です。
 メッセージは、イーゼルに立てかけられた額縁パネルに収まっていました。そのパネルの大きさは、どちらもA2サイズであり同じでしたが、小池都知事のものは日本語だけのA2縦、大使のものはスペイン語と日本語訳各A4縦2枚(A3)が2つなので、1枚当たりにすると小池都知事の1/4です。老眼の私などにとっては目を近づけなければ読み取れません。まことに無礼この上ないものでした。(写真では大使のメッセージが入っている額縁が大きく見えるが、額縁全体のサイズは同じです。)
      

 さらに都知事のものは、朗読中はステージ上に掲げ、メッセージは全文読み上げ、大使のメッセージは(市が作成した)要旨のみ読み上げで、サンホセの会コーナー近くのテントの脇に立てかけ、失礼にもほどがあるというものです。
 読み上げらた大使のメッセージの要旨はこちらで聞くことができます。

 サンホセの会で訳した日本語のメッセージ(原文付き)はこちらから見ることができます。

 なにが省略され、どのように表現されているか、その違いから市長の本音が分かります。ぜひ比べてみてください。
 ※市が訳し、大使館に確認を求めた日本語文もぜひ手に入れたいと思っています。

 雑感ですが……。
 来賓あいさつにおいける東大和市長と市議会議長のあいさつは、手元の文書読み上げでした。これは、ひとが変われど昨年も同様でした。いっぽう、渡部東村山市長はメモなど見ることなく、自分の言葉でしっかり(しかも東大和の市長・議長より長く)語っていしました。同じ保守でも、こんなところにひとの出来の違いが表れるものです。
(2023.8.21)




  「裁判ごっこNEWS号外」を発行しました


 すでにお知らせしたとおり、「サンホセの会」の依頼に応じ、コスタリカ共和国大使がお寄せくださった東大和「市民平和のつどい」に向けてメッセージの扱いについて、当会と教育委員会・副市長との間で交わした合意が一方的に破られるいう事態が発生しました。
 これは当会に対する背信行為であるばかりでなく、コスタリカ大使に対して無礼な扱いです。
 「裁判ごっこNEWS」は高裁逆転勝利判決以降の市の対応と、こちらの取り組みについて伝える目的で発行しているものですが、急遽「号外」として、大使メッセージの不当な扱いについて伝えることにしました。
 「裁判ごっこNEWS号外」をトップページからダウンロードしてご参照ください。
(2023.8.19)






   松本新副市長の初仕事は約束をたがえることか!


 完全に騙されていました。

 8月18日午前中、岩野生涯教育課長・小俣教育部長・松本新副市長と面談を持ちました。
 当初は掲示だけということだったので、当方は一国の大使のメッセージの扱いとして無礼であると主張。市側は、市として要請したものではないからということを理由にしています。
 市民団体が勝手にやったもの、として快く思ってはいないことが感じられます。なんと料簡の狭いことでしょう。
 大使のメッセージはあくまでも全文読み上げるべきというのが、こちら言い分です。小池都知事のメッセージは全文読み上げるというのにです。

 交渉の末、市としても自分たちで訳したもがあるので、その日本語訳を読み上げたいという。
 日本語訳であればだれが訳しても同じであろうと考え、それならばと了解しました。
 こちらで訳したものは、原文と訳文を掲示するということ。ちなみに小池都知事のそれは(市が要請したのでいったんステージ上に据え、しかる後に後方テントに移すということでした。大使のメッセージは、サンホセの会パンフレット配布場所のテント近くに立てかけたままです。これも礼を欠くと言わねばなりません。

 ところが、午後になって松本副市長から電話がありました。
 市で訳したものの確認が大使館の都合で取れないので、サンホセの会で訳した日本語のものを要約して発表したいという申し出です。メッセージの全文読み上げで合意したのだから、大使館から了解が取れないのであれば、こちらで訳したものを全文読み上げるべき、つまり、合意の完全実施を求めました。
 そもそもなぜ市の訳文なら読み上げ、当方の訳文が読み上げられないのかと問いただしたが、まともな回答は帰ってこず、結局物別れとなってしまい、市はその線で強引に進めるようです。

 ある方の指摘ですが、核兵器廃止条約のくだりが問題になったのであろうということでした。聞いた当初はそんな馬鹿なと思いましたが、よくよく考えると納得できなくもない。いや、むしろそう考える方が今日の副市長の対応が理解しやすいのです。
 現政権の方針に近似している現市長は、核兵器禁止条約をすすめ、非武装を維持して軍事費を民生に活かしているというコスタリカ大使のメッセージはそのまま伝えたくないのでしょう。市の訳ならば、また当方の訳文の要旨だけならば、そのあたりはぼかすことも可能だと考えたというところでしょう。

 電話の後、市の訳した文書を見せるよう岩野課長に要請しても、大使館に確認できていないものは提示できない(松本談)とのこと。これを手に入れればことの真実が分かるはずです。
 また、明日読み上げられるであろう当方の訳文の要旨なるものをきけば、事実が分かるかもしれません。

 これらのことについてはしつこく食らいつき、告発しなければなりません。
(2023.8.18)