内閣府「方針」撤回陳情を東大和市議会に提出しました

 まずは以下の映像を見てほしい。昨年12月に開かれた日本学術会議第186回総会の模様である。



 以下の項、「日本学術会議第186回総会」おいて、小寺隆幸さんが紹介していたものだが、動画を開くまでには至らない方も多いであろうという判断のもと、ここに貼り付けた。
 ここで東京大学の浅間一教授は次のように述べている。「日本学術会議は国益のために存在する組織ではありません。日本学術会議は国益のためではなくて、人類のために存在する組織でありまして、そのために真実を追っている、科学的な知識を作っているという存在だと思う。先週(日本学術会議元会長)吉川弘之先生とお話しする機会があり、はっきりおっしゃっていたが、その学術的な知識を作った結果、公的知識というのは日本人だけでなく、世界で人類が用いることによって人類に貢献する、これが重要なミッションだということであり、ここが政府と違うところなんです。ここをしっかり認識したうえで、その存在意義、独立性の担保というものがやはり議論されなければいけないのではないかと思う。だからこそ国際連携が重要であり、日本学術会議がそういった活動を活発に行っていくんだと思う。」

 ここで述べられている重要なことは、「日本学術会議は国益のために存在する組織ではなく、人類のために存在する組織である」という指摘、吉川氏の言を用いて補足した「公的知識というのは日本人だけではなく、世界で人類が用いることによって人命に貢献する」ものが、日本学術会議であるという点である。これは、日本の科学アカデミー(とりわけ日本学術振興会)が、アジア太平洋戦争において、戦争政策に積極的に協力してきた反省から生まれたものが日本学術会議であるということを踏まえた発言だと、わたしは理解した。

 今般の政府による日本学術会議に対する介入(学術会議法の一部改訂)意図は、まさにこのことに尽きるのではないかと思う。すなわち、岸田政権による大軍拡方針に積極的に協力する組織に、日本学術会議を変質させていいのか、ということである。
 大軍拡政策に反対する市民として、これを見過ごすことは、日本国憲法の平和主義にも反し、わたしたち自身の生活をも脅かすことになるという自覚のもと、内閣府「方針」撤回陳情を市民に提起、市議会に提出したような次第である。

 同陳情の今後の扱いや、その結果については、上部「内閣府「方針」撤回陳情」のロゴをクリックすれば、専用のページが開くようになっていますので、そちらをご覧ください。
(2023.2.21)



 日本学術会議第186回総会

 12月21日、日本学術会議第186回総会学術
が開かれ、学術会議のあり方の変更を求める政府案に対して、様々な会員から意見(異見)が出され、日本学術会議として政府案の再考を求める声明が発せられた。菅政権による任命拒否問題を放置したまま、問題を学術会議のあり方に転嫁する政権の姿勢は決して認められるものではない。今後政権が数の力でこれを押し通そうとするなら、学術会議だけの力で押し返すことは困難であり、幅広い市民・大衆の関心・支持が絶対的に必要になると思われる。
 同総会において、会場入り口で会員への激励と政府への抗議のスタンディングを行ない、「6名の任命拒否を居直り、学術会議の独立性を踏みにじる政府方針に反対し、『学問の自由』を守りましょう」というチラシ(内容はこちら)をを配布し、総会を傍聴された軍学共同反対連絡会事務局長の小寺隆幸氏の報告を、同会MLから転載する。併せて、当日配布された同チラシも貼り付けます。是非お読みください。
 ※一部(改行・字下げ・記号・資料等)手を加えてあります。
(2022.12.24)
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 10時からの総会ではまず笹川室長が新たな資料「日本学術会議の在り方について(具体化検討案)」(資料8)を説明しました。
 そこには8日の総会初日で室長が口頭で答えたことが明文化されています。とりわけ問題なのは「第三者から構成される委員会を設置し、選考に関する規則や選考について意見を述べることにより、会員等の選考プロセスの透明性の向上・厳格化等を図る。日本学術会議は、委員会の意見を尊重する」と書かれていることです。候補者選考過程自体に政府や産業界の意向が反映される法的仕組みを組み込むための改革であり、本質は任命拒否と同根の学術への権力的介入なのです。
 さらに梶田会長の文書「懸念事項について」(資料10)に対して、室長は回答にならない説明を延々と繰り返しました。
 その後11時から13時半まで、予定を1時間超過して30名ほどの会員の質問が続きました。第三者委員会の構成は、どう選ぶのか、学術会議の独立性をどうとらえているのか、なぜ任期を延長してまで強引に行うのか、改選手続きは始まっており来年度は現行で行ってじっくり議論すべきだ、などの質問が相次いだのですが、室長はまともな答弁をしませんでした。
 東京新聞が記事と共に一人の会員の質問について5分の映像を公開(https://www.tokyo-np.co.jp/article/221380)していますのでご覧ください。
 最後に「法案は学術会議を全く別のものに変えてしまう恐れがある。いったん立ち止まり、内閣府と与党、学術会議で議論を積み重ねるべきだ」という意見がだされ会場から拍手が起こったのですが、室長は全く答えませんでした。
 その後3時から5時まで、学術会議としての声明案について議論し、「内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』について再考を求めます」資料12を総会として採択しました。そこでは
 ◆会員選考のルールや過程への第三者委員会の関与は、学術会議の自律的かつ独立した会員選考への介入のおそれがあり、任命拒否の正統化につながりかねない
 ◆学問の体系に即した内発的論理によらない政治的・行政的判断による組織編成の提案は学術会議の独立性を侵害するおそれが多分にある
 ◆学術には政治や経済とは異なる固有の論理があり、「政府等と問題意識や時間軸等を共有」できない場合があることが考慮されていない
など6点をあげています。
 そして「真の信頼関係構築の努力を十分に行わずに、日本学術会議の独立性を危うくしかねない法制化だけを強行することは、真に取り組むべき課題を見失った行為と言わざるを得ず、強く再考を求めたい」と締め括っています。
 総会後の記者会見で梶田会長は「今回示された政府の改正案は、70年以上の歴史を持つ学術会議の性格を変えかねない。極めて深刻な懸念を感じています」と述べています。

 これについて信濃毎日新聞社説(12月23日)が、政府案の撤回など明確な方向を打ち出していますので紹介します。
 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022122300130
 「学術機関の独立は、大学の自治とともに学問の自由を守る防壁だ。政治権力によるあからさまな介入を止めなければならない。/学術会議の梶田隆章会長は、重大な決意で臨むと語った。その認識を社会が共有し、圧力に押し切られぬよう背を支えたい。/天皇機関説への排撃をはじめ、学問への圧迫が言論・思想の苛烈(かれつ)な弾圧につながったことを歴史は教える。/学術会議をめぐって今起きていることを、縁遠い学者の世界の出来事とやり過ごせない。/梶田会長は政府に対する今回の声明とは別に、社会に向けた声明を年内にも出すと述べた。学術会議の存在意義や会員選考のあり方について、市民との対話や議論の場を広げることが欠かせない。」

 今後政府はこの声明にどう応えるのでしょうか。それとも無視して予算成立後の4月に法案を提出し学術会議法改悪を強行しようとするのでしょうか。
 それを阻止するためには、2年前の任命拒否抗議のうねりを超える大きな取り組みが求められると思います。
(軍学共同反対連絡会 事務局長 小寺隆幸)



◎12.19「学術会議 任命拒否を考える講演会」(「学術会議任命拒否を考える講演会」実行委員会主催)における池内 了 氏の講演「科学者はなぜ軍事研究に反対するのか 日本学術会議と軍事研究」の動画を掲載します。
 科学者と軍事研究に関するテーマを幅広く、歴史的な視点も含め解説されています。
 ※池内 了 氏(名古屋大学名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授、軍学共同反対連絡会 共同代表)






◎11月30日(月)に行われた「日本学術会議会員任命拒否は憲法違反・許すな憲法破壊! 緊急院内集会」の動画(2時間半)を以下で視ることができます。








 科学技術担当相が日本学術会議会長 梶田隆章に対し、軍事研究反対の姿勢をを含む学術会議のあり方の再検討を求めたことは、任命拒否問問題のすり替えと判断し、日本学術会議には連帯と応援の意味を込めて、また井上大臣には抗議の意思を表すべくメッセージを送りました。以下は日本学術会議にあてたメッセージです。
 原文は市民9名の連名でしたが、個人名が記載されているため代表連絡先のみにしました。「自由と人権」として発送したものではありませんが、学問の自由にかかわる問題のため掲載することにしました。(2020.12.2)


 








日本学術会議の任命拒否問題を受けて、詩人・石川逸子さんが作られた詩をご紹介します。

          



                           
          
  


◆このページでは日本学術会議任命拒否問題関連の記事を掲載します。
◆以下の「日本学術会議2017年声明を支持する陳情」をめぐってでは、
 2021年2月、東大和市に提出した同陳情提出にまつわる出来事について報告してあります。



  
声明をめぐって
    ※東大和市における上記陳情については、上のロゴをクリックしてください。



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